2011年12月14日

エンタープライズ・モビリティ  走り出す前に考えるべきこと

課題解決に求められる包括的で戦略的なアプローチ

エンタープライズ・モビリティを高めることで、企業ユーザは、いつでもどこにいても、事業の中核データにモバイル・アプリケーションを通してすぐにアクセスすることが可能になる。このことが意味するのは、成長を加速させたいと考える企業にとって、エンタープライズ・モビリティが事業戦略の必要不可欠な構成要素となってきていることだ。マーケットにおけるスマートフォンとモバイル基盤の急速な拡大とその振幅の大きさを考えると、立ち上げが速くシンプルでコスト効果の高いビジネスソリューションを、デバイスに依存せずに構築でき、かつ、将来の変化への担保を得ることが企業にとって重要である。

押し寄せるエンタープライズ・モビリティの波

このホワイトペーパーは、ユーザ企業や開発会社がエンタープライズ・モビリティを高めていく際に直面する課題に、どのように対処しこれを克服するかについての示唆を提示する。
なぜエンタープライズ・モビリティなのか?
企業が、その中核となるアクティビティをモバイル化し、バックオフィスをフロントエンドと統合することで、企業のモバイル・ユーザは、いつでもどこにいても、スマートフォンやタブレットPCを使って業務遂行できるようになる。

  • 今後3年以内に、世界的に、モバイル・デバイスを使ってインターネットへ接続するユーザが、デスクトップPCを使うユーザを超えると予測されている (前掲グラフ) 。
  •  欧州と米国で、スマートフォンの出荷台数が、従来型の高機能携帯電話=フィーチャーフォン(通話主体でカメラ・ワンセグなどを内臓した携帯電話     端末:日本では所謂ガラケーがこのカテゴリ)を超えた 
 IDC (Europe) and Nielson (USA) research

モバイル技術が市場に浸透するスピードは、過去15年間に現れたテクノロジーのなかで最も早く、2015年にはモバイル・デバイスの市場規模は現在の10倍になると期待されている  。

だれが必要とするのか?

モバイル・ユーザは、いまや、フィールドサービス・エンジニアや地方出張者だけではない 。少なくとも、経営者、監査役、弁護士、営業マン、一旦現場を離れればプロジェクトマネージャも含まれる。つまり、すでにスマートフォンを使って電話したり写真を撮ったりメールを読んだり日程管理をしたりバーコードを読んだりナビを使ったりしている人たち、重要な業務遂行の手段としてスマートフォンを活用している人たち全てに、エンタープライズ・モビリティは関わっている。
これらスマートフォン・ユーザが望むものは、デスクトップPCのユーザとは異なっている。たとえば、デスクトップPCのユーザは業務の一手順を遂行するのに50~80秒かかってもよいと思っているが、同じことをするモバイル・ユーザが許容できるのは10~15秒である。また、巨大な業務アプリケーションの複雑な階層メニュをたどって処理をすすめるスタイルは、モバイル・ユーザには許容されない。
これまでのエンタープライズ・モビリティに向かうトレンドは、ユーザ主導で作られてきた。企業は、モバイル・ユーザが受身でなく反応性が高いことを見出して、その要請に応え、その生産性や顧客対応力を高めるための助力をすべきである。その際、場所やスマートフォンの種類による制約をなくすことが重要だ。
なぜ今なのか?
ブロードバンド化の進展とスマートフォン・ユーザの習熟度の高まりによって、ユビキタス環境(誰もがいつでもどこからでも情報ネットワークにアクセスできる環境)の普及は閾値を超え、エンタープライズ・モビリティは今日のITC界における最大のグローバルマーケットになってきた。2013年までに、ビジネス界に働く人々に占めるモバイル・ユーザの比率は35%になる見通しだ  。



モバイルならではの課題が横たわる

デスクトップPCのOSが事実上Windowsに独占されているのとは異なり、モバイル・マーケットでは複数のOSが並立しており、デバイス依存機能も多い。また、モバイルそのものの制約(サイズ・通信)もある。モバイル・デバイスを社員に貸与する企業もあろうが、他方ではユーザ自身の所有する多様なモバイル・デバイスを業務で利用せざるをえない企業も多い。
エンタープライズ・モビリティを具現化するにあたっては、コスト・セキュリティ・機能性に関して、こうした背景を踏まえて、モバイル特有の技術・管理面の諸課題をクリアしていく必要がある。

コスト

企業は、既存のビジネスプロセスとこれに関わるアプリケーションを、(エンタープライズ・モビリティというよりBPR観点で)リデザイン、再構築ないし補強し、複数のモバイル・デバイスとOSに対応させる必要がある。これは、時間がかかり、複雑で、コスト(IT要員増員、複数のテスト環境の準備、既存のビジネス・技術インフラの変更による)を伴う。
この課題を回避しようとすれば、企業は、現状の開発・展開手法を超える、より費用対効果の高く、シンプルで、融通の利く(デバイスやOSに依存しない)手段を見出さなければならない。

セキュリティ

顧客情報、財務・営業に関わる秘情報を流出させるリスクを犯してはならないのは企業にとって当然のことである。バックエンド・システムをモバイル・ネットワークにさらす前に、モバイルだからといって妥協することなく、潜在的な要因を洗い出し、セキュリティを確保し、担保を取らなければならない。

機能性

企業は、モバイル・アプリケーションの機能に関する技術的な課題も克服しなければならない。

モバイル特有のデザイン・アーキテクチャ要素

シンプルで信頼性が高く、フレンドリーなユーザ・インタフェース(UI)を確保するために、モバイルならではの次の観点を考慮にいれて、従来とは異なった開発と展開のスタイルの採用を検討する必要がある。
  • UIの画面の狭さ
  • 通信プロトコル
  • データストレージ容量
  • CPU能力
  • バッテリー能力
  • データ暗号化
  • 認証・許可・アカウンティング記録(AAA)
加えて、GPSやカメラといったモバイル特有の内臓デバイスを統合する必要もある。したがって、モバイル環境で「使える」アプリケーションを開発・展開するために、開発者には、アジャイルでフレキシブルな開発プラットフォームが必要となる。

マルチデバイス・マルチOSへの対応方法
企業は、商業的なシェア動向をにらんで、次のような技術的な選択を強いられる。
"    将来的にどのOSが企業の属する業界でデファクト化していくのかを予見し、そのOSに乗っていくのか。それとも、多様なOS上での分断された開発と維持をコストをかけながら続けていくのか。
"    利用されている様々なタイプのデバイスをサポートするために複数のバージョンのアプリケーションを開発していくのか。それとも、サポートするデバイスタイプを1種類に絞るのか。

バックエンド・システムの統合
企業内のモバイル・ユーザは、SaaSとインハウス・システムの両方を含む、多様な異なるバックエンド・システムのデータを、快適な処理スピードとレスポンスのもとで、参照したり更新したりすることができなければならない。デスクトップPCユーザが、LAN上でシステム毎にUIを開いて処理していた作業を、そのままモバイル環境に持ち込むことはできないからだ。


走り出す前に取り組むべきこと

企業内ユーザとその業務プロセスのモバイル化を効率的にすすめるためのキーファクタは次のとおり。

包括的かつ戦略的なアプローチ

なかには、戦術的また即興的にモバイル化に取り組もうとしている企業がある。このような企業の多くは、ブラウザ・アプリケーション化に取り組んでいる。しかし、このアプローチには限界がある。ブラウザ・アプリケーションは、ネイティブ・アプリケーションと同等の能力をモバイル・デバイスから引き出すことができないだけでなく、ユーザ・フレンドリーなUIを提供することもできないからだ。
機能やセキュリティを犠牲にすることなくモバイル上で複雑な業務を遂行することに取り組み成功を収めようと望むならば、企業は包括的で戦略的なアプローチを採用し、モバイル化に伴い開発環境に求められる要件を注意深く吟味しなおす必要がある。

開発プラットフォーム要件の明確化

個人のホビー向けの開発環境を企業用途に持ち込むことはできない。企業用途のアプリケーション開発プラットフォームは、次の要件を備えていなければならない。
  • 技術的な進歩に横たわる問題点への対処がなされていること。企業や開発パートナーがこのような問題点の解決に拘泥されることなく、実現すべきことに集中できること。
  • 多様なデバイス上でネイティブに動作するリッチUIのビジネス・アプリケーションを、企業利用レベルのセキュリティと信頼性のある方法で提供できること。
  •  データ入力機能を高めるために、GPS・カメラなど、モバイル・デバイスの特徴を生かせること。
  • 企業内の他のアプリケーションと連携ができること。これにより、モバイル・ユーザにデスクトップPCユーザと同等のデータ・処理・フローを、複雑な手順を要請することなく提供できること。
  • 複数ソースのフローやプロセスを直裁にマッシュアップできること。これにより、企業の業務プロセス・イノベーションや、モバイルならではの新たなアプローチを実現可能にすること。


開発結果のポータビリティ

デバイスに依存しない開発アプローチを採用することで、マルチデバイス展開に伴う複雑さを回避することができる。このアプローチであれば、単一の開発パラダイム、単一のビジネスロジックのもとで、開発者は全てのスマートフォン/OS上でネイティブに動作するアプリケーションを生成することができるからだ。これは、開発結果のポータビリティを高めることを意味する。そのために、次の2つの要素が必要となる。
  • アプリケーションの開発と、開発済みアプリケーションのデプロイメントが分離されていること。これにより、単一の開発結果を、多様なOS上に(そのOSに関する特別な知識を要することなく)展開することができる。
  • 開発における処理記述を、特定のデバイス/OS環境依存の設定属性から切り離すこと(プログラムのメタデータ化)。これにより、現行のみでなく、将来のモバイル・プラットフォームに対しても対応できることが担保される。
スピードと費用対効果の観点からも、ポータビリティを高めることは有効である。複数プラットフォーム対応アプリケーションを個別に作成する際に必要な、ロジック・プロセスの複製化やコア構造の再開発といった工程、これに要する開発リソースや時間を省略できるからだ。



結論

包括的で戦略的なアプローチを実施することで、企業は、モビリティ化に伴う諸課題に対処し、モバイル化がもたらすビジネスと業務遂行上のチャンスをものにすることができる。
マジックソフトウエアの提供する開発環境は、そのパワフルで多用途なメタデータ・アプローチと開発・デプロイメントの分離、すなわち、開発結果のポータビリティを提供する。これは企業に、将来に亘るデバイスに依存しない開発の担保と、すばやく、シンプルで、費用対効果の高いモバイル展開をもたらすだろう。詳しくは  http://www.magicsoftware.com/jpを参照していただきたい。


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