2012年1月23日

コンシューマライゼーションとエンタープライズモビリティ

エンタープライズ・モビリティは コンシューマ主導ではじまりMEAPでブレイク

 スマートフォン・アプリケーションは、コンシューマ市場で大成功している。典型的なiPhoneユーザは、平均して50のアプリケーションをダウンロードし、70%のiPhoneユーザは毎日これらアプリケーションを利用している。Androidユーザも、多少後れを取っているが、それでも35のアプリケーションをダウンロードし、60%が毎日利用している。実際、最近の調査によれば、スマートフォンユーザの2/3は、スマートフォンを使って毎月ショッピングにいそしんでいる。



モバイルもコンシューマライゼーションの洗礼をうけている。コンシューマ・マーケットでのモバイルデバイス(特にスマートフォン)の隆盛は、エンタープライズ・モビリティへの関心を押し上げている。モバイル・エンタープライズ・アプリケーションへの関心は、コンシューマ・アプリケーションへの関心に急速に追いつこうとしている。これは、モバイル・エンタープライズ・アプリケーション・プラットフォーム(MEAP)がブレイクしたおかげである。

一方で、ビジネスにおける全てのチャレンジと同じく、効果的なモバイル戦略を打ち立てるにはリーダーシップに基づく規律が必要だ。というのも、モバイル戦略は中堅 企業にとって予算的な重荷であるというだけでなく、同時に、モバイル戦略は物のわかったユーザの期待を掻き立てるものでもあるからだ。

モバイルフォンを使って関連情報にアクセスすることと、その情報に働きかけることは全く別物だ。しかしながら、適切な情報を取得することなく行動することは危険だ。その解決になるのがマッシュアップだ。マッシュアップは、複数のバックオフィスシステムや他の情報ソースからデータを抜き出し、組み合わせて、単なる集積ではないモバイルビジネスユーザにとって役に立つ情報を構成する。
マッシュアップは、新しいコンセプトではない。GoogleMapsは、その良い例であり、検索結果の位置情報と地図を、ビジネス電話帳とマッシュアップして提示する。試しにGoogleでドーナッツと入力してサーチすると、あなたの所在地に近いドーナッツショップが地図上に表示されるだろう。

モビリティは、マッシュアップよりも訴求力が高い。ビジネスリーダやその部下の多くは、スマートフォンを使って、日時や場所やデバイスを問わず、複数のシステムがもつキー情報にアクセスし、これに働きかけたいと考えている。これを実現するには、異なるモバイルプラットフォームをサポートする、モバイル・エンタープライズ・アプリケーション・プラットフォームと、強力なインテグレーション機能が必要とされる。

Gartnerによれば、2013年の終りまでに、労働人口の50%がビジネス用途でモバイル機器を使うようになるという。ビジネス・アプリケーションやIT部門は、新たな現実に追いつこうともがいている。デスクトップPCは無用の長物と化すと考えているのは私だけではない。しかし、モバイル・ビジネス・アプリケーションを梃子に従業員のビジネス力を向上させるために、モバイルアプリケーションを制作したり、既存システムを統合したり、ビジネスプロセスを簡略化したりする際には、注意しなければならないことがある。モビリティは、社内サービス組織やモバイル企業だけのものではないということだ。むしろ、製造、財務、小売、物流といった部門にとって不可欠であり、業務を場所に縛られないものにするメリットは計り知れない。モビリティはもはや特別なものではない。モバイル機器は玩具でなく、使い出のある仕事道具と捉えるべきだ。

私の良く知るある企業では、スマートフォンを自動倉庫システムと常接続させることで、スマートフォンで出荷作業をおこなっている。これにより、特定の端末に縛られることがなくなり、作業性が向上した。安価なスマートフォンは、高価な専用端末に比べて投資対効果が高い。これは、伝統的な適応例にすぎない。

また、ビジネスアプリケーションのルックアンドフィールを、ユーザの使用するデバイスにネイティブ化することも、入り口にすぎない。
全てのビジネスにおいて、顧客獲得、パートナー獲得、時には仕入先獲得のプロセスの簡略化は重要テーマだ。スマートフォンユーザは、あなたの会社と今までとは違う体験をすることを望んでいる。ゲーミフィケーションの導入は、重要な決定事項になる。また、伝染性マーケティング viral marketingは、単なるフォームやボタンを超えて、あなたの会社がちょとした驚きを引き起こすことができるかに拠っている。顧客向けのビジネスアプリケーションにおいて、ユーザによる使用体験レポート、アプリケーション・デザイン、双方向性、社会的側面、新鮮さ、コンテンツの訴求力の間の関係づけは必須だ。

コンシューマ向けアプリケーションデザインは、社内ユーザ向けにも向けられなければならない。ユーザの注意をひきつけられる時間は、デスクトップPCでは2ー3分なのに対して、モバイルユーザは約1分にすぎない。これは、すべからくITのコンシューマライゼーション*1につながる。また、モバイルビジネスユーザに適切な行動(決済、発注、等々)を取らせるためには、正確なデータを即座に流す必要があることを意味する。さらに、企業向けのマッシュアップには双方向性が要求される。すなわち、企業システムからのデータ抽出、モバイルデバイスへの表示、モバイルモバイルからのアクションに基づくバックエンドシステムのデータ更新をこなさなければならない。そして、ユーザが様々なタイプのデバイス(BlackBerry, Android, iPhone, Windows Phone...)を持っていることを考えると、クロスプラットフォームのマッシュアップ、その背景となるデバイスに依存しないアプリケーション・プラットフォームが必要となる。

タブレットデバイスも視野に入れておく必要がある。バックエンドのERPや、eコマース、CRMシステムとの統合によって、タブレットデバイスは上げ足の速いマーケット環境において有効な手段となりうるからだ。

IT部門には、変化に晒されているモバイル分野において、広範囲のデバイスに対応したビジネスアプリケーションを制作・配置・保守すること対するプレッシャが、これから2年ほどの間に徐々に強まっていくだろう。確実に言えることは、旧来のメソッドは新たな局面に適応できないということだ。解決をもたらす開発ソリューションは、クロスプラットフォームであり、かつ、デバイス毎に特化した機能を実装できるものでなければならない。すなわち、一旦ひとつのアプリケーションを開発し、それをスマートフォンのタイプ毎のネイティブなアプリケーションとして配置するということだ。

ITマネージャとCIOは、こうした条件を満たす開発環境を選択しなければならないことになるだろう。また、先見の明のあるマネージャは、モバイルアプリケーションの生産性を高めることを目的として、新たな規律をIT部門に根付かせることに力を注ぐことになるだろう。

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原文:  
Regev Yativ (president and CEO of Magic Software Enterprises Americas), 
Consumerization of Enterprise Mobility Requires Leadership Discipline




2011年9月にスマートフォンで購入した何を購入したか(複数回答)
  • デジタルコンテンツ(音楽・電子書籍・着メロ・動画類)    調査ユーザの47%
  • 衣料・アクセサリ    37%
  • チケット    35%
  • 日常使いの食材    34%
  • ギフト    34%
  • エレクトロニクス機器    32%
  • ファストフード    31%
  • ホテル予約    29%
  • 紙媒体の書籍    26%
  • レンタカー    24%
  • 花卉    21%
  • スポーツ    19%
  • 自動車    13%

(2)購入の際、スマートフォンをどこで使ったか(複数回答)

  • 自宅    56%
  • 屋外    42%
  • 仕事場    42%
  • 旅先    37%
  • 店内    36%

対象:米国内の18歳以上のモバイルユーザ
典拠:Custom Mobile Retail Advisor Survey,




コンシューマライゼーション Consumerization: 
最近のITトレンドがまずコンシューママーケットで生まれやがてビジネス組織に広まっていくこと。デバイスは、消費者向けITや家電に収斂していき、ITイノベーションがビジネス界においてよりも、家庭においてブレイクすること。たとえば、かつてと異なり、今では、仕事場のIT機器やサービスより家庭のものの方が多機能で安価であるとみなが信じるに至っていること。Web 2.0/Enterprise 2.0の推進力となった考え方。


MEAP = Mobile Enterprise Application Platform: ガートナーが2008年から提唱、毎年その進展をレポートしているコンセプト。
用途として、MEAPは企業向けモバイルアプリケーションを開発するための製品とサービスのスイートパッケージという概念。コンシューマ向けプラットフォーム(MCAP)と対比される。
開発環境としては、MEAPは、単一OS向けないし複数OSデバイス向けのファット・クライアント開発環境という位置づけ。

企業の特定の開発目的が、ファット・クライアント・アプリケーションに適すると判別される場合、次の3のルールを満たすならば、クロスプラットフォーム開発環境はネイティブ開発環境に比べて、3年から5年の中期レンジで、コストと戦略的なアドバンテージの面で、良い結果をもたらすとされる。
・3つ以上のデバイス上で動く必要がある
・3つ以上のアプリケーションを開発する必要がある
・バックエンドシステムが3つ以上ある




ゲーミフィケーション gamification : 
ゲームではないアプリケーションやWebサイトなどにゲームのメカニズムを利用することで、参加者の満足度を高めること。次の4つのメカニズムから構成されるとされる。(1)楽観:成功の信念に裏づけられ、困難に即座に立ち向かおうとすること。(2)社会構造性:ゲーム対戦相手を好ましく思う気持ちや相手への信頼感の高まり。(3)生産性:リラックスしているときと比べてゲームは幸福感や働く意欲を呼び起こすこと。(4)意味づけ:日常を超える何事かを成すために働いたと信じられる。

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